モチベーション革命の書評 尾原和啓

この本におけるモチベーション

この本は、タイトルから判断すると、その辺でよく見かけるモチベーションを上げるテクニックが書かれているかと想像してしまいますが、そのようなノウハウ本ではありません。

筆者によるモチベーションの源の洞察が、私のような50代の会社員にとって衝撃的なものでした。
それは、他の人との違いやその人の希少性こそが会社にとっての価値になりそれが若い世代のモチベーションにつながるということです。
皆と同じことを要求された一昔前の価値観とは大きく変化しており、まさに今という時代を良く捉えています。

30代以下の若い世代と仕事をする上で議論や考え方が、しっくりしないと感じている人にとって、まず価値観の違いをどのように理解し接したら良いかその答えとなる一冊です。

逆に30代以下の若い世代にとっても50代以上の世代とどのようにかかわったらよいのか非常に参考となる本です。

若い世代とモチベーションの変化

若い世代と古い世代との考え方の違いによる問題はいつの時代にも存在するものでした。

一昔前であれば若い人の考えは良くわからない状態であっても何とかそのまま定年を迎えられましたが、今は定年年齢も引き上げられつつありそれでは、済まされなくなってきました。

若い人の考えがわからないまま過ごすことが会社にとってどのような悲劇となるのか、たとえ会社を辞めたとしても寿命を迎えるまでに別の悲劇も待ち受けています。

この本の前書きに、進化論で有名なダーウィンの言葉があります。
「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは変化に最もよく適応したものである。」

つまり私が思うに価値観の変化に適応できない会社は、生き残れないのです。
30代以下とそれよりも上の世代は全く異なる価値観で仕事をしているのです。
会社しかり定年退職し寿命を迎えるまでの長い余生を生きる自分も例外ではないのです。

これをモチベーションの変化と言い換えてみると、ベテラン世代にとって30代以下の若者の理解できない行動が「人間としての変化であり、生き残るための進化」というように見えてきます。

そしてこの変化の予兆をとらえ、活発なイノベーションを起こす組織をいかに作るかが、生き残る上で重要だということが理解できます。

「乾けない世代」と「乾いている世代」

この本の中に出てくるキーとなる表現で30代以下の若い世代を指す「乾けない世代」、それよりも上の世代を指す「乾いている世代」について紹介します。

「乾けない世代」:
「何もなかった時代」を知らず、すでに作り上げられた社会の上に立たされているため、埋めるべき空白がない。だから、何かが欲しいと「乾けない」。「ないものを勝ち得るために我慢する」という心理や、上の世代で重要視される「達成」にこだわることへのアンバランスさも感じている。彼らにとって「家庭」「友人」「自分」という小さくて身近な枠の幸せが動機につながる。

「乾いている世代」:
家、車、最新の家電商品などに対する飢餓感を埋めるため、欲望のままに働いた。「この国を作っているのは自分」という自負を持ち、国や会社の成長と自分の成長がイコールで結ばれていた。仕事での成功が、豊かな暮らしにつながる「乾いている」世代である。彼らは、「国」や「社会」という大きな枠で動いていた。

クリエイティブな組織の必要性

「乾けない世代」と表現される若者の価値観に寄り添うことは、人間本来の欲求とは何かという問いに向き合うことになります。
これまでの企業のロジックが通用しなくなっている一方で、早期に対応することで他社に先んじるチャンスが大きいとも言えます。

本書は、仕事の生産性を上げるために最も大切なモチベーションについて深く掘り下げて書かれています。

若い世代がモチベーションを持ち続けるには、身近な幸せである自分自身の成長が実感できるクリエイティブな組織である必要があります。

クリエイティブな組織とは、成功するかどうかはわからなくても、一歩を踏み出せる力を持つ組織のことです。
そして、誰かが飛び出して失敗した時に周りのメンバーが支えること。
仲間を信頼してチャレンジを続けていく組織こそイノベーションを起こせる組織となります。

ここであなたに質問です。
「あなたのマネージャーはあなたを『人』として見てくれていますか?」
この問いは、本書にある「クリエイティブな組織を見分けるたったひとつの質問」です。

この長寿社会において会社勤めを見直すきっかけになる一冊です。
ぜひ自分の組織、あるいは自分自身のキャリア形成の参考にしてください。

この記事でわかり難い箇所等がありましたら何なりとご質問ください。またご要望にもお応えできるよう尽力いたします。

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