ビジネスマンのための「読書力」養成講座の書評 小宮一慶

この本を読んで、小学生時代から何回も聞かされたある言葉の真意が理解できました。
それは、「本を読まないと馬鹿になる。馬鹿は本を読まない。」と言った内容の言葉です。

これまでその言葉は、半信半疑ではあるものの心の何処かに刷り込まれていたのです。
その為か、本屋で読書術と言う文字を目にすると無意識に手に取っいました。

この本は私のように「読書をしなくては」と思いつつも「読書をしても頭はよくならない」と感じている人にとって、人生を変えるほどのインパクトを持っています。

がむしゃらな多読が良いわけではありません。
この本には、「正しい読書の仕方」が記されています。

今流行りの「速読」についてもそれが有効な分野、目的、方法が書かれていますが、『「速読」では頭はよくならない』理由も腑に落ちました。

目次

「読書力」を鍛えると、頭はどんどんよくなる

この本では、読書法について大きなポイントが3つ説明されています。

頭をよくすにるには本の読み方次第

正しい読書法を身に着ければ、あらゆる分野について、読書による独学でも30時間で専門家レベルに達することができるのです。

頭をよくする本としない本

逆に、頭をよくする本でも、読書法が間違っていると、頭は良くなりません。
つまりがむしゃらに多読しても頭はよくならないのです。

「目的」による読書法の使い分け

読書の目的に合わせて、①速読、②通読レベル1、③通読レベル2、④熟読、⑤重読(再読)の5つの読書法があります。

5つの読書法

速読

頭からすべて読むのではなく、自分が必要なポイントだけ拾って読むのであれば速読は知識を短時間で得るスキルとして意味があります。

しかし頭をよくするという観点からすると速読は意味がないのです。
「頭のよい」状態というのは単に物知りということではなく「高い論理的思考力」を兼ね備えた状態のことを言います。

論理レベルを高めるためには、論理レベルが高い人が書いた本を読んで、その論理を「なぞる」のが非常によい方法です。
つまり、速読ではそれを得ることはまず不可能なのです。

通読レベル1

通読とは最初から最後まで読んでいく読書法で2つのレベルに分けられます。
「通読レベル1」は全体をざっと通して読んでいって、そこから読書を楽しんだり、ある一定の知識を得るというのを目的とした読書法のことです。

ここで重要なことは常に「仮説」を持ち、「検証」しながら読書をするということです。

自分の経験とそれまでの知識から立てた、いろいろな仮説をどんどん検証しては、また新しい仮説をつくりだしていく、というプロセスを繰り返すことで、視点を広げ高めていくことができるのです。

通読レベル2

「通読レベル2」は、楽しむというより、勉強に重点を置いた読書法のことです。
論理的に考えながら線を引いたり、メモを取りながら読んだりするのがこれにあたります。

論理的思考力を高め、頭をよくする読書法になります。
インスピレーションや直観力は、論理的思考力や関連付けが必要となります。
何らかの話題に対してそれまでのインプットで得た「引き出し」を開き、その中身こそがインスピレーションや直観力なのです。

このレベルの本をどのくらい読むかで、通読レベル1や速読で読む本から読み取れるインプット量や、そこから生まれるインスピレーション量も増えてきます。
そして知識のベース、論理的思考のベースができあがるのです。

熟読

ひとことで言えば「ひらめき」を生む読書法です。
「自分の専門分野や興味のある分野のものを、必要なところだけ読み、多くのことと関連付けながら、きっちり論理立てて読んでいく」ことが熟読の目的です。

この読書法こそが、最も頭をよくする読書法であると著者は言います。
熟読で重要なことは、書いてあることに納得するということ、きっちり理解することです。

それは「書いてあることをほかのことと関連付けて考えることができるか?」ということです。
その本の内容のベースとなっている考え方、論理が分かると、それまで、まったく違う分野だと思っていたこと同士が同じロジックに当てはめて考えられることが分かるようになります。

あるいは、あれは、このことから派生していたんだ、などということが見えてくるようになります。
これこそが「ひらめき」なのです。

重読(再読)

これは、人間としての成長を促すための本の読書法です。
同じ本を繰り返して読む読書法で、そこから何をどれだけ学んだか、自分のものとなったかが重要となるものです。

著者は、凡庸な本を読む時間があったら、いい本を繰り返し読むべきだといいます。
勉強や社会での経験を重ねるにつれ、同じものを読んでも、伝わってくるものが違うのです。

いい本なら、読むたびに、そのときどきに応じて、常に新しいものを学ぶことができます。
大切なのは、重読によって自分の考えを高めることです。

通読レベル1、2、熟読、重読それぞれに相応しい書籍が数多く紹介されています。
またここで紹介した読書法のほかに読書力を高める8つのポイントが説明されています。

ビジネスマンのための必読書60の紹介もありますので読書法を試すのも良いと思います。

まとめ

「読書力」を鍛えれば、頭はどんどんよくなります。
いくつかの専門分野なら、読書による独学も可能です。
しかしがむしゃらに多読しても読書法が間違っていると、頭は良くなりません。

読書は、その目的に応じて、①速読、②通読レベル1、③通読レベル2、④熟読、⑤重読(再読)の5つに分けられます。

いまいちど読書をする目的と本の選択方法を振り返ってみてください。
この本は、自分に合った望ましい読書法を知りたいと思った方へ、私がおすすめする一冊です。

この記事でわかり難い箇所等がありましたら何なりとご質問ください。またご要望にもお応えできるよう尽力いたします。

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